糖尿病の注射薬(薬物療法)

糖尿病の注射薬(薬物療法)にはインスリン・GLP-1受容体作動薬の自己注射療法の二つがあります。

糖尿病の注射薬(薬物療法)にはインスリン・GLP-1受容体作動薬の自己注射療法の二つがあります。 使用薬剤の選択は、個人個人の体質や合併症の程度にあわせて千差万別です。

糖尿病の注射薬(薬物療法)GLP-1作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬

GLP-1作動薬・GIP/GLP-1受容体作動薬

・主な作用:インスリン分泌促進・食欲抑制 
食後高血糖抑制・単独では低血糖が少ない。血糖降下作用に加えて食欲抑制・体重減少効果も持つ。膵臓のβ細胞のGLP-1受容体と結合し、高血糖の際にインスリンを分泌させ、血糖値を上昇させる作用のあるグルカゴンの分泌を抑制する。GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)という体内ホルモンと同じ働きをする薬。週1回タイプであれば投与する曜日や時間帯は、ライフスタイルに合わせて自由に決めることができます。朝でも夜でも構いません。ただし、一度決めたら、以降はできるだけ同じ曜日・時間帯に投与するように心がけましょう。食欲抑制と胃の動きを抑え、脳の食欲中枢に作用して食欲を抑えたり、胃の動きを抑制したりすることで、食事摂取量を減らし体重減少につながることが期待されます。
・主な薬剤一般名(毎日注射):リラグルチド等
(製品名:ビクトーザ皮下注等)
・主な薬剤一般名(週1回注射):リラグルチド、デュラグルチド等
(製品名:ウゴービ皮下注・マンジャロ皮下注・ゼップバウンド注皮下注・トルリシティ皮下注等)
・副作用:吐き気、下痢、便秘などの消化器症状の副作用 等
・GLP-1作動薬の注射を忘れたとき:自己判断せず、必ず医師または薬剤師に相談することが最も安全です。前回の投与から5日以内(投与日を含め6日以内)に気づいた場合は気づいた時点で、直ちに忘れていた分を投与してください。その後の投与は、通常通り、最初に設定した曜日に戻して週1回投与を継続します。前回の投与から6日以上(投与日を含め7日目以降)が経過してから気づいた場合は 気づいた時点では注射せず、次回の通常の投与日にのみ注射してください。

田辺三菱製薬 HP より引用 (https://www.mt-pharma.co.jp/news/2023/MTPC230612.html)

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糖尿病の注射薬(薬物療法)インスリン製剤

 

インスリン製剤

・主な作用:血糖直接低下 特徴:注射製剤
・1型糖尿病にはインスリン療法が必須です。体内で不足するインスリンを自己注射で補い、血糖値をコントロールする糖尿病治療法。インスリン製剤には作用時間によって様々な種類があります。
超速効型・速効型::食直前・食前に注射し、インスリンの追加分泌を補うことで食後の急激な血糖値上昇を抑えます。
中間型・混合型::中間型は基礎インスリンとして、混合型は速効型/超速効型インスリンと中間型インスリンを混ぜた製剤で、基礎分泌と追加分泌を同時に補えるのが特徴
持効型溶解インスリン:持効型溶解インスリンは作用が長時間持続し、基礎インスリンの分泌を補います。血糖値の変動が少なく、無色透明のインスリン製剤です
必要に応じてSAPやインスリンポンプも使用する
※SAP:リアルタイムCGMを併用したインスリンポンプ療法
・インスリン注射を忘れたとき:自己判断せず、必ず医師または薬剤師に相談することが最も安全です。

・超速効型インスリン
特徴:インスリン追加分泌(食後高血糖)用として立ち上がりが早い
作用発現時間:10~20分
最大作用時間:30分~1時間30分あるいは1~3時間
作用持続時間:3~5時間
注射タイミング:食直前
・超速効型インスリン注射を忘れたとき:食事中または食直後であれば、打ち忘れたことをすぐに医療機関に伝えて指示を仰いでください。通常の量あるいは少し減らした量を注射できる場合があります。食後であれば次の食事までの時間が短くなければ注射はせず、次回に回しましょう。自己判断せず、必ず医師または薬剤師に相談することが最も安全です。
主な薬剤一般名:インスリン アスパルト・インスリン リスプロ等
(製品名:フィアスプ注・ノボラピッド注・ルムジェブ注等)

画像提供:ノボノルディスクファーマ株式会社   

・速効型インスリン
特徴:インスリン追加分泌(食後高血糖)用、超速効型インスリンより立ち上がりは遅い
作用発現時間:30分~1時間
最大作用時間:1~3時間
作用持続時間:5~8時間
注射タイミング:食前30分
・速効型インスリン注射を忘れたとき:食事中または食直後であれば、打ち忘れたことをすぐに医療機関に伝えて指示を仰いでください。通常の量あるいは少し減らした量を注射できる場合があります。食後であれば次の食事までの時間が短くなければ注射はせず、次回に回しましょう。自己判断せず、必ず医師または薬剤師に相談することが最も安全です。

主な薬剤一般名:生合成ヒト中性インスリン・ヒトインスリン等
(製品名:ノボリンR注・ヒューマリンR注等)

・持効型溶解インスリン
特徴:インスリン基礎分泌用、作用持続時間は約24時間であり最大作用時間に明らかなピークはない
作用発現時間:1~2時間
最大作用時間:明らかなピークはない
作用持続時間:約24時間
注射タイミング:通常1日1回、毎日同じ時間(※アウィクリ注は1週間に1回、同じ曜日) 
・持効型溶解インスリン注射を忘れたとき:自己判断で2回分を一度に注射せず、必ず医師または薬剤師に相談することが最も安全です。
主な薬剤一般名:インスリン イコデク・インスリン デグルデク・インスリン グラルギン等
(製品名:アウィクリ注・トレシーバ注・ランタス注等)

■アウィクリ注(インスリンイコデク):アウィクリ注(インスリンイコデク)は世界初の週1回インスリン製剤です(週1回持効型溶解インスリンアナログ注射)。
アウィクリ注(インスリンイコデク)の半減期は約1週間で長時間血糖降下作用が持続します。アウィクリ注(インスリンイコデク)は可逆的にアルブミンと結合しますが、緩徐にアルブミンから解離しインスリン受容体と結合して作用しますので、血糖降下作用が1週間にわたって持続します。 アウィクリ注ゆっくりと長期間にわたって作用するため、週1回インスリン投与で持続した効果が期待されます。 アウィクリ注は毎週1回同じ曜日に皮下注射します。
画像提供:ノボノルディスクファーマ株式会社  

■トレシーバ注(インスリン デグルデク):トレシーバ注(インスリン デグルデク)は、1日1回の注射で26時間(海外では42時間)血糖降下が持続する持効型溶解インスリンアナログ製剤です。
トレシーバ注(インスリン デグルデク)を1日1回同じタイミングで注射することで、安定した血糖コントロール(基礎インスリンの補充)に貢献します。夜間の低血糖リスクを軽減することも期待できます。
画像提供:ノボノルディスクファーマ株式会社  



・中間型インスリン
特徴:速効型インスリンにプロタミンを添加して結晶化させ、作用時間を長くさせたインスリン
作用発現時間:30分~3時間
最大作用時間:2~12時間
作用持続時間:18~24時間
注射タイミング:朝食前30分以内
・中間型インスリン注射を忘れたとき:自己判断で2回分を一度に注射せず、必ず医師または薬剤師に相談することが最も安全です。
主な薬剤一般名:生合成ヒトイソフェンインスリン・ヒトイソフェンインスリン等
(製品名:ノボリンN注・ヒューマリンN注等)

・混合型インスリン
特徴:インスリンの追加分泌を補う超速効型あるいは速効型製剤に一定量のプロタミンを加えたもの、あるいは中間型を組み合わせた製剤
作用持続時間:15~24時間
・混合型インスリン注射を忘れたとき:自己判断で2回分を一度に注射せず、必ず医師または薬剤師に相談することが最も安全です。
主な薬剤一般名:二相性プロタミン結晶性インスリンアスパルト・生合成ヒト二相性イソフェンインスリン等
(製品名:ノボラピッド30ミックス注・ノボリン30R注等)

・配合溶解インスリン
特徴:超速効型インスリンと持効型溶解インスリンを混合した製剤
作用発現時間:10~20分(Bolus画分)
最大作用時間:1~3時間(Bolus画分)
作用持続時間:>42時間(Basal画分)
注射タイミング:1日1回投与は毎日一定、1日2回投与は朝食直前と夕食直前
・配合溶解インスリン注射を忘れたとき:自己判断で2回分を一度に注射せず、必ず医師または薬剤師に相談することが最も安全です。
主な薬剤一般名:インスリン デグルデク/インスリン アスパルト
(製品名:ライゾデグ配合注)

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引用・参考文献

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